行政書士 EIL国際法務事務所

各国から求められ、放射線の有無を証明する産地証明の入手はどうするか


福島県内で起きた原子力発電所の事故を受けて、日本から輸出しようとする製品が、事故前に生産したものか(日付証明)、どの県で生産したものか(産地証明)、放射線量はどのくらいか(放射性物質検査証明)という内容をEUなど諸外国から求められることがあります。輸出しようとする製品と相手国により証明書の内容は大きく異なります。

■ おおまかに、対象とされるのは15都県(福島、群馬、茨城、栃木、宮城、山形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京、千葉、神奈川、岩手、静岡)です。これらの地域で産出した食品等が輸出先国の放射性物質基準に適合することの証明が求められます。

■ 15都県以外で産出した食品等については、産出した道府県名を証明することになります。

都道府県の扱いは全体的なものではなく、相手国や産品により異なります。(下のほうに表にまとめました)

証明は商工会議所ではなく、水産物以外の食品については、各都道府県の農林担当部局で行われていましたが、平成25年4月1日から農林水産省が輸出証明書の申請の受付を開始しています。水産物については水産庁において証明書を発行することとなっています。(http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kaigai/130301.html)
農水省の窓口については、こちらになります。(http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kaigai/pdf/130301-01.pdf)
酒については国税庁で証明書を発行します。(http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/sake/)
工業製品については、放射線量の証明書の添付を求められた場合には国が検査および証明書を発行するということはありません。各自で検査機関を探して、検査してもらわなければなりません。

以下に農水省のEU向けの食品規制のお知らせについて転記します。例えば、EUでは静岡県産はきのこと茶だけに限って放射性物資検査をしなければならないということがわかります。

24食産第3716号

平成24年10月29日

各都道府県担当部長 宛
農林水産省食料産業局総務課長

農林水産省食料産業局輸出促進グループ長


EU向けに輸出される食品等に関する輸入規制の改定について


東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴い、欧州連合(以下「EU」という。)は、平成
23 年3月 28 日より日本からEU向けに輸出される食品及び飼料について、Commission
Implementing Regulation(EU)(以下「実施規則」という。)No 284/2012 に基づき、日本の管
轄当局が発行する証明書を求めております。このことを受けて、「EU向けに輸出される食品等に関
する証明書の発行について」(平成 23 年 3 月 27 日付 22 国際第 1144 号)及び「海外向けに輸出
される農林水産物及び食品等に関する証明書の発行について」(平成 23 年 4 月 21 日付23 国際第
83 号)等により、輸入規制措置の内容をお知らせしたところです。平成 24 年 10 月 27 日、EU
は、上記実施規則を廃止し、新たな実施規則 No996/2012(別添参照)を同年 10 月 30 日以降適
用することを発表しましたので、同実施規則の概要について下記のとおりお知らせいたします。

記1.放射性物質検査証明が必要な地域及び品目(別表1参照)
(1)静岡県放射性物質検査証明が必要な品目を、全品目から、茶及びきのこ類(別表2参照)に縮
小。
(2)山梨県放射性物質検査証明が必要な品目を、全品目から、きのこ類(別表3参照)に縮小。
(3)9都県(群馬、茨城、栃木、宮城、埼玉、東京、千葉、神奈川、岩手)放射性物質検査証明が
必要な品目を、全品目から、きのこ類、茶及び水産物並びに一部の山菜類、野菜、果物及び穀類(別
表4参照)に縮小。
  (注)福島県については、これまで通り全ての食品等について放射性物質検査証明が必要。
(4)加工品の取扱いの明確化福島県産の食品等や上記(1)〜(3)に該当する品目を、50%以上含有
する加工品について放射性物質検査証明が必要。主原料や製品の産地が不明な食品等についても、放
射性物質検査証明の添付を必要とすることを明確化。

2.産地証明が必要な地域・品目上記1以外の地域・品目については、産地証明の添付が必要。

3.酒類の全面規制解除日本酒、焼酎、ウィスキーに加え、梅酒、ビール等、酒類(EU側のCNコー
ド(*):2203〜2208)の規制を全面的に解除。
  (*) EUが設定している「合同関税品目分類表」(Combined Nomenclature-CN)と呼ばれる物品
の分類表の番号

4.EU側でのサンプリング抽出率の明確化【
                 【改定前】    【改定後】
   放射性物質検査証明の対象品目 5%以上  →  一律 5%
   産地証明の対象品目      10%以上  →  一律 5%

5.証明書様式の改定と旧様式からの経過措置上記1.の改定に伴い、証明書様式を改定(別添参
照)。平成 24 年 10 月 30 日から適用。但し、以下の貨物に限り、経過措置として旧様式の証明書
が認められる。
  @ 平成 24 年 10 月 29 日までに日本を出港した貨物。
  A 平成 24 年 10 月 31 日までに発行された証明書をもって、同年 11 月 30 日までに日本を出
港する貨物。

6.適用期間規制措置の期限を平成 26 年3月 31 日まで延長。

時期により対象国および日本の基準・方法等が変更されるので、最新の資料をご覧下さい。
平成27年2月25日時点の各国が求めている情報は下記の通りです。

@ 対象品目に対する証明書発行


平成27年2月25日現在

国、
地域
対象品目 日付証明書 放射性物質検査証明書 産地証明書 輸入停止
EU等

(E
U及
びE
FT

(ノ
ルウ

ー、
スイ
ス、
リヒ
テン
シュ
タイ
ン、
アイ
スラ

ド)
を指
す)
すべての食品
(加工品
含)・飼料
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
・福島県で産出されたすべての食品
及び飼料(酒類を除く)
・青森、山梨、新潟、静岡で産出さ
れたき のこ類
・秋田、山形、長野で産出されたき
のこ類 及び一部の山菜類
・岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、
埼玉、 千葉で産出されたきのこ
類、水産物及び 一部の山菜類並び
に穀物

・上記の原料産地の品目又はそれら
を 50%以上含有する食品及び飼料

基準:EU規則322/2014
乳幼児食品:50以下
飲料水:10以下
牛乳・乳製品:50以下
その他の食品:100以下
・福島県で産出されたす
べての食品及 び飼料以
外であること
・青森、山梨、新潟、静
岡で産出された きのこ
類以外であること
・秋田、山形、長野で産
出されたきのこ 類及び
一部の山菜類以外である
こと
・岩手、宮城、茨城、栃
木、群馬、埼玉、 千葉
で産出されたきのこ類、
水産物及 び一部の山菜
類並びに穀物以外である
こと
シン
ガポ
ール
左記それぞれ
の証明欄参照
茨城、栃木、群馬で産出された林産
物、水産物 基準: 不検出(ND)
であること
・福島(輸入停止の市町
村以外)で産出された
米、食肉、牛乳・乳製
品、卵、野菜・果物とそ
の加工品、緑茶及びその
製品(市町村ごとの産地
証明)
・茨城、栃木、群馬で産
出された食肉、牛乳・乳
製品、卵、野菜・果物と
その加工品、緑茶及びそ
の製品(県ごとの産地証
明)
・その他の都道府県で産
出された食 肉、牛乳・
乳製品、卵、野菜・果物
とそ の加工品、緑茶及
びその製品、水産物
(都道府県ごとの産地証
明)
・福島県で産出された林産物、水産物
・福島県の南相馬市、 川俣町、楢葉町、 富岡町、川内村、 大熊町、双葉町、 浪江町、葛尾村、 飯舘村で産出された全 食品及び農産物
韓国
※水
産物
につ
いて
は、
「韓
国 に
よる
日本
産 水
産物
の輸
入 規
制強
化に
つ い
て」
(水
産庁

P)
を参
照願
いま
す。
すべての食品
(加工品含)
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【13都県産の水産物以外の食品及
び16都道県産の水産物の場合】
(福島、岩手、宮城、茨城、栃木、
群馬、埼玉、千葉、、神奈川、長
野、静岡の輸入停止品目を除く)
基準:韓国食品医薬品安全庁、農林
水産 食品部 ・ヨウ素131→100以
下(乳幼児食品、乳及 び乳加工
品)、300以下(その他食品)等・
セシウム134,137→計 10以下(飲料
水)、 計 50以下(牛乳、乳児用食
品)、計100以 下(一般食品)等
【13都県産以外の食品
の場合(水産物以外)】
(青森、岩手、山梨の一
部の輸入停止品目を除
く)福島、群馬、茨城、
栃木、宮城、山形、新
潟、長野、埼玉、神奈
川、千葉、東京、静岡以
外であること
【16都道県産以外の水
産物】 北海道、青森、
岩手、宮城、福島、茨
城、栃木、群馬、千葉、
東京、神奈川、 愛知、
三重、愛媛、熊本、鹿児
島以外で あること
出荷制限された対象都県と品目
タイ 酒類、食品添
加物等を除く
すべての 食
品(加工品
含)
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【3県産の場合】基準:タイ保健
省 ・ヨウ素131 : 100以下(すべ
ての食品) ・セシウム134,137 :
計500以下(すべて の食品) ※検
査報告書で輸入可
【3県産以外の場合】福
島、群馬、宮城以外であ
ること
ブラ
ジル
福島県のすべ
ての食品(加
工品含)
平成23年3月
11日より前
に福島 県で
生産、加工
したこと
【福島県産の場合】基準:Codexに
準拠 ・セシウム134,137→計1000
以下(すべて の食品)
仏領
ポリ
ネシ
すべての食品
(加工品
含)・飼料
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【12都県産の場合】基準:アレテ
No.579CM ・ヨウ素131→150以
下(乳幼児食品)、500 以下(乳
及び乳加工品)、2000以下(その
他食品)等・セシウム134,137 →
計 400以下(乳幼児 食品)、計1,
000以下(乳及び乳加工品)、 計
1,250以下(その他食品)等
【12都県産以外の場
合】福島、茨城、栃木、
群馬、宮城、長野、 山
梨、埼玉、東京、千葉、
神奈川、静岡 以外であ
ること
レバ
ノン
すべての食品
(加工品
含)・飼料・
殺 虫剤・肥
【日本の出荷制限品目・区域以外の
場合】 基準:レバノン農業省 ・ヨ
ウ素131:設定なし ・セシウム
134,137→計15以下(乳幼
児食 品)、計50以下(乳幼児用以
外の乳及び乳加工品)、計150以下
(その他食品)等 ※検査報告書で輸
入可
福島、茨城、栃木、群馬、千葉、神奈川の出 荷制限品目
中国 すべての食品
(加工品
含)・飼料
【10都県産以外の野菜及びその製
品、乳及びその製品、茶葉及びその
製品、果物 及びその製品、薬用植
物産品の場合】 <協議中>
【10都県産以外の場
合】福島、栃木、群馬、
茨城、千葉、宮城、 新
潟、長野、埼玉、東京以
外であること (但し、
放射性物質の検査証明が
必要 な食品を除く)
10都県産の全ての食品
モロ
ッコ
すべての食品
(加工品
含)・飼料
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【13都県産の場合】基準:EU規則
297/2011 ・ヨウ素131→
100以下(乳幼児食品)、300 以下
(乳及び乳加工品)、2000以下(そ
の 他食品)等・セシウム134,137&
#8594;計200以下(乳幼児 食品、
乳及び乳加工品)、計500以下
(そ の他食品)等
【13都県産以外の場
合】福島、群馬、茨城、
栃木、宮城、山形、 新
潟、長野、山梨、埼玉、
東京、千葉、 神奈川以
外であること
香港 食肉・家禽
卵、水産物
【5県(福島、茨城、栃木、群馬、
千葉)産の場合】 基準:Codexに
準拠 ヨウ素131 : 100以下(すべ
ての食品) セシウム134,137 : 計
1000以下(すべて の食品)
5県の野菜・果実、牛乳、乳飲料、粉ミルク
エジ
プト
すべての食品
(加工品
含)・飼料
【11都県産の場合】基準:エジプ
ト原子力エネルギー庁 セシウム
134,137→計 50以下(乳
幼児食 品、牛乳・乳製品)、計 10
以下(飲料水)等、計100以下(そ
の他の食品)等
【11都県産以外の場
合】福島、群馬、茨城、
栃木、宮城、山梨、 埼
玉、千葉、東京、神奈
川、静岡以外で あるこ
アラ
ブ首
長国
連邦
すべての食品
(加工品
含)、飼料
平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【15都県産の場合】基準:アラブ
首長国連邦環境・水資源省 ・ヨウ
素131 : 100以下(すべての食
品) ・セシウム134,137 : 計
1000Bq/kg以下(すべての食品)
※検査報告書で輸入可
【15都県産以外の場
合】青森、岩手、宮城、
福島、茨城、栃木、 群
馬、埼玉、千葉、東京、
神奈川、新 潟、山梨、
長野及び静岡以外である
こと
ブル
ネイ
食肉、牛乳・
乳製品、野
菜・果物
(生 鮮、加
工)、いも
類、 緑 茶
製 品 、 水
産 物、海藻
・福島県産の野菜・果物(生鮮・加
工)、いも類、海藻、緑茶製品 基
準:Codexに準拠 ・セシウム
134,137 : 計1000Bq/kg以下
(すべての食品)
・福島県産の食肉、牛
乳・乳製品、野菜・果物
(生鮮、加工)、いも
類、緑茶製 品、水産
物、海藻以外の品目 ・
福島県産以外のすべての
食品
福島県産の食肉、水産物、牛乳・乳製品
マカ
野菜、果物、
乳製品、食
肉・食肉加
工 品、卵、
水産物・水
産加工品
・9都県(宮城、栃木、茨城、群馬、
埼玉、東京、千葉、長野、新潟)の
食肉・食肉加 工品、卵、水産物・
水産加工品 ・2県(山形、山梨)の野
菜、果物、乳製品、 食肉・食肉加
工品、卵、水産物・水産加工品 基
準:Codexに準拠 ・ヨウ素
131 : 100以下(すべての食
品) ・セシウム134,137 : 計
1000以下(すべて の食品)※検査
報告書で輸入可
・福島県の野菜、果物、乳製品、食肉・食肉加 工品、卵、水産物・水産 物加工品 ・9都県の野菜、果物、 乳製品
ロシ
すべての食品 平成23年3月
11日より前
に生 産、加
工したこと
【6都県産の水産物及び水産加工品
を除く全ての食品の場合】 福島、
茨城、栃木、群馬、千葉、東京の
水 産物及び水産加工品を除く全て
の食品 ※放射性物質検査報告書を
添付し、検査 結果は
「NotDetected」であること。 基
準:セシウム137放射性核種許容レ
ベ ル ・セシウム137→40
以下(乳幼児食品、パン)、60以
下(小麦粉、フレーク等)、80以
下(野菜、根菜類)、100以下(乳
及び乳製 品)、130以下(魚・魚製
品)、160以下(野生ベリー類とそ
の製品)、200以下(肉とそ の製
品)、260以下(乾魚、干魚)、300
以下 (コンデンスミルク等、野生
動物肉)、500以下(粉乳、生きの
こ)等
【8県に所在する施設】の水産品及び水産加工品:福島、青森、岩手、宮城、山形、茨城、千葉、新潟
サウ
ジア
ラビ
すべての食
品・飼料
料平成23年3
月11日
【12都県産の場合】宮城、山形、
福島、茨城、栃木、群馬、埼 玉、
千葉、東京、新潟、山梨及び長野
の すべての食品・飼料は、政府作
成の放射 性物質検査証明書。12
都県以外のすべての食品・飼料は、
放 射性物質検査結果報告書。 基
準:サウジアラビア食品医薬品庁
<セシウム134, 137の合計> 飲料
水:10以下牛乳及び乳製品:30以
下 乳児用食品:30以下 その他の食
品:75以下 動物飼料:75以下
   

A 輸出事業者に対する輸出事業者証明書発行

国、地域 対象事業者 規制内容 輸出相手国の基準
バーレーン 過去に放射性物質検査結果報告書を提出し、バーレーン向けに食品を輸 出した実績のある輸出業者 日本政府が発行する過去のバーレーン向けの輸出実績に関する輸出事業者証 明書の写しで輸出可(放射性物質検査結 果報告書は不要) ※輸出事業者証明書の有効期間は1年 間 基準:バーレーンが定める食品中の放射性物質最大許容値(Bq/kg,L) <セシウム134, 137の合計> 全ての食品:1,000 飲料水:10 <ヨウ素131> 全ての食品:100 飲料水:10注1:乾燥食品の場合、放射性物質の濃度は水戻し後の測定値 により判定するものとします。注2:バーレーン保健省令No22/2005(2005年6月21日公布)で食 品はコーデックス基準(CODEX STAN 193-1995)、飲料水はGCC基準を採用していることを規定。 注3:放射性物質検査の結果が、日本の基準値を上回っている 場合は、輸出することはできない。
上記以外の者 指定検査機関が発行する放射性物質検査結果報告書の添付が必要
オマーン 過去に放射性物質検査結果報告書を提出し、オマーン向けに食品を輸出 した実績のある輸出業者 日本政府が発行する過去のオマーン向けの輸出実績に関する輸出事業者証明 書の写しで輸出可(放射性物質検査結果 報告書は不要) ※輸出事業者証明書の有効期間は1年 間 基準:オマーンが定める食品中の放射性物質最大許容値(Bq/kg,L) <セシウム134, 137の合計> 全ての食品:1,000 <ヨウ素131> 全ての食品:100注1:オマーン商工省令28/2011(2011年3月27日公布)で食品は コーデックス基準(CODEX STAN 193-1995)を採用していることを規定。 注2:放射性物質検査の結果が、日本の基準値を上回っている 場合は、輸出することはできまない。
上記以外の者 在京オマーン大使館等が領事認証した指定検査機関が発行する放射性物質検査 結果報告書の添付が必要


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