行政書士 EIL国際法務事務所

輸入するときに知っておくべき法令や制限、自主規制をまとめています



電気製品を輸入するとき、様々な法律に適合している必要があります。しかしながら、これらの法律は難解であるため、知られていない場合が多く見受けられます。電気製品は許可製品ではないため、日本の法律に適合していなくても税関で止められることなく輸入できてしまいます。そこで、誰にも文句を付けられなかったと勘違いして、適合しない製品をそのまま売ってしまうケースがあります。

元々許可制ではないので、知らずに売ってもそのままであることも多く、「今までもこれでやってきたので大丈夫」と思っている方もいらっしゃいます。また、取らなければならない規格や届け出なければならないものは一つに限りませんが、何か一つ届出したから大丈夫と思っている方もいます。例えば、ノートパソコンでWiFiの電波を出す認証は取ったのに、Bluetoothの認証はしていなかったとか、PSEはやったけどWiFiは国際規格だから台湾で取得しているので大丈夫だろうと対応していなかったなどです。

ところが、経済産業省の市場品の試買や火事などの事故の火元となった時には、消防・警察・経済産業省など行政機関が火元の特定をし、その火元となった製品が誰が販売したものかの追及をします。

火元製品となれば、焼けた家の民事的責任(損害賠償請求)、刑事罰(無届輸入販売により、xxx万円以下の罰金及びxx年以下の懲役:100万円および3年が多いが、製品や価格によって一概に言えないのでxxxにしています)、行政罰(3年以下の輸入禁止、販売した製品の回収命令)などが科せられることになります。

各種法的対応にきちんと対応していることを立証できれば、お客さんの使い方の問題となり、販売者側の責任を問われることがないということになります。

個人輸入も気を付けて

この問題は大手商社や貿易会社特有の問題だと思ってはいけません。

輸入した製品を誰かに売るということを繰り返し行っている人は、有償無償問わず、「業として輸入している」とみなされます。

個人輸入でも自分の使用するためにしか輸入していない場合は、何度輸入していても輸入業者ではありませんが、輸入したものを他人に使用させた場合は輸入業者になります。

製品によっては、輸入された製品をもらった側が罰せられることもあるので、よく調べた方が良いです。例えば、電線を輸入したとき、電線を使うのは工事業者ですよね。工事業者はPSE対応されているものでなければ使用してはいけないことになっています。しかも、使用した場合は法令により一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとなっています。業者さんからすると、「安い電線があったので、手を出した。国内取引なのでPSEは対応していると思った」と言い訳しても逃れられません。安く売った側も「そんな法律があるとは知らなかった」では済まされません。


例えば、「海外サイトで見た3Dプリンターは15万円だけれど、日本のサイトでは同じ物が75万円で売っている。これを輸入して50万円で売ったら儲かるな」と考える人もいますが、法的対応をちゃんとしていないと、後々とんだ高い買い物になります。

海外に行くのは普通になっていますので、海外の店先や展示会で、何気なく見つけた物を輸入して販売している業者の方も多くなってきました。これらの業者の方々も適法に行っているかどうか考えてくださいね。特に雑貨業の方は材料まで目が行かないので、輸入禁止材料を使った雑貨を輸入していることもあります。店先で20個買うからまけろと交渉して転売用に仕入れるより、材料証明の出せるメーカーから仕入れた方が良いですね。特にスタンドライトなど電気用品だと小売店から買ったものは法的手続きが取れないと思った方が良いです。すなわち、違法輸入になります。


かつては輸入というのは難しい手続きができる商社の専門分野でしたが、個人輸入が解禁されて、商店や中小企業でも簡単に輸入できるようになりました。そして、輸入した製品が法的対応できているか気にしない方が増えてしまったのです。

ご自分の身を守るためにも、適法輸入しましょう。


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PSE対応

電気製品を輸入するときは、PSEに対応しているかどうかは、まず調べなければなりません。

適合しないものを輸入した場合、電気用品安全法第57条6号により、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または併科されます。法人に対しては1億円以下の罰金(59条)が科せられます。

なんでこんなことになっているかというと、海外で普通に売られていて、何の問題もなく使えているものでも、日本のJIS規格の屋内配線では火事になる可能性があるからです。日本の電源プラグが2ピンということが大きいですね。海外はアース用に3ピンプラグを使用している国が多いですが、3ピンですと何かあってもアースに抜けるのですが、日本の2ピンですと、アース線がないので電気回路に負荷がかかってしまいます。そのため、発火するということが起こるのです。

よって、試験内容は強電をかけてショートさせる試験が有名ですが、それだけではありません。その試験はビンテージ品を転売可能にするために、強電入力をして、機器が発火しないことを確かめてPSEマークのシールを貼るというビンテージ品救済措置のためだけです。

輸入電気製品はその他に燃やして有害物質が出ないかとか、他の電気製品に電磁ノイズを出さないか、他の電気製品からの電磁ノイズ等により誤動作しないか(スイッチも入れてないのに隣の家のテレビを付けると勝手にファンヒーターの電源が入るようであれば、うかうか外出できないですから)といった様々な試験をクリアしなければなりません。

これは、非常に難解なので、別のタブで輸入業者のためのPSEというシリーズでまとめて書いておきます。

電波法対応

WiFi、Bluetooth、携帯電話などの電波を出す機器は電波法の適合をしていなければなりません。これらは略して技適と呼ばれています。

技適を通ったものだけが、日本で電波を出せます。海外のWiFiモジュール、PC、SIMフリーケータイなどを安いからと手を出しても、法的には日本国内で電波を出すことはできません。

もし、実験等のためや展示会での実演のために電波を出すということであっても、無線局免許を取得し、免許状を掲示しなければなりません。操作者の無線従事者免許は不要です。局免許だけが必要です。

これもやはり、海外と日本では電波の周波数や質が異なることが大きな要因です。海外では無免許で使える周波数の許容出力が日本より大きいこともあります。そのまま日本で使うとテレビやラジオに雑音が出たりすることがあります。

また、周波数も日本はギチギチに使っていて、ちょっと外れると他の用途で使用しているということもあります。そこにWiFiとかが入ってくると他の機器が誤動作します。例えば、ちょっと前は富士山頂に気象レーダーがありましたが、これが東京の気象庁と交信していたのがWiFiと干渉したりしました。また、航空機の管制塔の無線とか、アメダスの情報収集用のものとかに影響を与えるために屋外で使用してはいけない周波数もたくさんあります。

また、日本の方式として、Listen Firstという作法もあります。自分の電波を勝手に出さずに、出そうとしている電波の周波数は誰かが使っていないかどうかを聞き耳を立ててから、大丈夫そうであれば初めて電波を出すというものです。

自分で買ってきた機器は問題なく使えるでしょうが、周りに影響を与えてはいけません。
そこで、電波法では様々な制約を加えていて、技術適合していないものからの電波を禁止しています。

問題なく動作するのと、使っていいのとは全く違います。例えば、最近はやりの自撮棒。これは棒だけならいいのですが、遠隔シャッター機能がついていて、それがBluetoothだと、個人で買ってきて、自分だけが使う目的であっても電波を出す行為自体が違法です。安易に東南アジアで買ってこないようにしてください。また、日本のお店で売っているのを見たときに、買う前に技適マーク(郵便局記号のようなもの)が付いているかどうか確かめてください。ついてなければ違法輸入品です。

携帯電話がまだ自動車電話であったころは、本体がトランクに入っていて、本体に無線局免許状というのが貼り付けていました。本来、電波を出すというのは免許の必要な分野なのです。ところが、電子レンジを使う、携帯を使うのに、国民に無線従事者免許を取らせていれば非常に面倒くさく、進歩のない国になってしまいます。そこで、免許の不要な周波数帯を国際的に決めたのがISMバンドといって、工業・科学目的で免許が不要になっています。ところが、機器の基準は何でも良いわけではありません。WiFi、Bluetoothと電子レンジはISMで使いたかったので、同じ周波数2.45GHzを使用しています。なので、WiFiが大出力になれば電子レンジになってしまったら大変ですので、周波数以外のところで細かい取り決めがあります。

日本の基準に合うように、技術適合を受けてパスしなければ、電波の出せる機器は売れません。


法律以外の規制

法律で規制されているだけでなく、様々な規制が世の中にはあります。

■ HDMIを使用するにはHDMIアライアンスに加盟し、1台当たりのロイヤリティを支払わなければなりません。
■ Display PortやDVIを使用するのは、ロイヤリティは不要です。
■ BluetoothはBluetooth SIGに入っていないと電波法の基準を満たしてもBluetooth SIGからの罰金とか科せられます。
■ WiFiは電波法の基準を満たし、技適証明を取ってもWiFiアライアンスに加盟して承認を得なければなりません。


その他

もし、輸入電気製品がクーラー、テレビ、パソコンなどの場合はリサイクル法の届出も必要で、回収された製品をリサイクルする必要があります。安く仕入れられたからと安易に値付けすると、これらの法的対応のコストが捻出できないということにもなりかねません。日本で売ってるものは、なぜ高いのかはよく考えてみると理解できますね。火事や事故を防ぎ、人命を守り、環境保護のために色々と行っているからなのです。それ以外に守らなければならないことを以下に述べますが、商品によって、これ以外にもあります。

■ 難燃性基準
■ VCCI
■ マニュアルの対応(使用上の安全に関することは母国語で書かなければなりません。日本への輸入は日本語ですので、全部英語の取扱説明書では違法です)輸出するときは少なくとも使用上の注意事項は現地語で書かなければなりません。
■ 登録商標 (リニーとかンニーとか登録されていなくてもソニーに紛らわしいというのもアウトです)。

消防法 耐火電線の基準
建築基準法 難燃基準
工業標準化法(JIS) 任意。ただし、国、地方公共団体が購入する工業製品はJISを尊重。水道においては強制。
外貨法、関税定率法、関税法 輸出入行為、知的財産侵害、不当表示、商標権、特許権、意匠権
資源有効利用促進法 事業用リサイクル
エネルギーの使用の合理化に関する法律 電子計算機のエネルギー消費に関する表示
港湾法 リチウム電池の輸送に関して
医療機器等法(旧薬事法) 病院で使用する機器に関する制約

などなど、様々な事柄があります。

ちなみに、輸入する人は輸出のところも見てください。輸入するということは、修理や返品で輸出することがあるからです。輸出のことまで考えてから輸入してください。


 紛争地域産出鉱物の購入規制

 技術的基準に関すること



当事務所は輸出入のトータルサポートをしますので、お気軽にご連絡ください。

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 紛争地域産出鉱物の購入禁止についての国際規制
      (コンゴ産の半田の購入禁止など。資金供与を防ぐ)

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