行政書士 EIL国際法務事務所  support@eilconsulting.com

キャッチオール規制


安全保障貿易管理は非該当証明を作成したら終わりではありません。非該当となった後でもキャッチオール規制に従って下記フローチャートに従い、いくつものチェックを行わなければなりません。

輸出の引き合いがあった後の流れは、以下の通りです。

輸出者から非該当証明を求められた場合は、貨物・技術・ソフトウエアが外為法の規制品であるかどうかの判定をして、非該当証明を輸出者に渡して終わりですが、実際に輸出する業者は、その後の判定もしなければならないのです。

また、非該当証明でいうところの「非該当」というのは輸出令別表第1の1の項から15の項に該当しないということです。別表第1の16の項には食料品と木材以外はほとんど該当します。ご注意ください。

別表1の16の項に該当するということは、パラメータシートの判定では非該当となります。











皆さん勘違いされていませんか。
ー 非該当なら、輸出許可不要と思っていませんか。
ー 該当なら輸出できないと思っていませんか。
ー 輸出許可は税関と思っていませんか。

輸出許可は、経済産業省です。輸出許可の出たものおよび、輸出許可不要なものは税関で輸出申請となります。
該非判定は、このフローの中の一番上の判断にすぎません。
該非判定をした後でも色々と判断することはあります。
これらの判断によって、輸出許可の要・不要が変わってきます。

こうした判断のアドバイスも当事務所でできます。



■インフォーム

上記フローに従って、輸出許可不要と判定し、輸出しようとすると、経済産業省から輸出許可申請してくださいと郵便が届くことがあります。これがインフォームです。以下経済産業省の文書を引用します。
「当該貨物の輸出や技術の提供について、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあると当省が判断した場合に、経済産業大臣から、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるものとして許可申請をすべき旨、文書にて通知されるものです。(インフォーム通知)
  通知を受けた事業者は、当該貨物を輸出又は技術を提供する場合には、事前に申請が必要となります。経済産業大臣の許可がない限り、当該貨物の輸出や技術の提供はできません。
 当該貨物の輸出や技術の提供については、経済産業省が大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等のために用いられるおそれがあるものとして判断しておりますので、許可されないことがあります。当該
懸念が払拭されたときに限って許可されます。」


■ 輸出令別表1の16の項

別表1の1の項から15の項までの内容で判定することは非該当証明・該非判定で既に終えていますので、16の項で判定するときは、リスト規制の貨物・技術・ソフトウエアではないということになります。
別表1の16の項の中で、キャッチオール規制に該当する品目は下記の通りで、動物、食料品、皮革、木材、繊維製品を除いたほとんどの工業製品が対象となります。
品目
規制の有無
第1部 動物(生きているものに限る。)及び動物性生産品 無し
第2部 植物性生産品 無し
第3部 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう。 無し
第4部 調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品 無し
第5部 鉱物性生産品 有り
第6部 化学工業(類似の工業を含む。)の生産品 有り
第7部 プラスチック及びゴム並びにこれらの製品 有り
第8部 皮革及び毛皮並びにこれらの製品、動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品 無し
第9部 木材及びその製品、木炭、コルク及びその製品並びにわら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物 無し
第10部 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ、古紙並びに紙及び板紙並びにこれらの製品 無し
第11部 紡織用繊維及びその製品
 第50類 絹及び絹織物 ×
 第51類 羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物 ×
 第52類 綿及び綿織物 ×
 第53類 その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物×
 第54類 人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品 ○
 第55類 人造繊維の短繊維及びその織物 ○
 第56類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル並びにこれらの製品 ○
 第57類 じゆうたんその他の紡織用繊維の床用敷物 ○
 第58類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゆう布
 第59類 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類及び工業用の紡織用繊維製品 ○
 第60類 メリヤス編物及びクロセ編物 ×
 第61類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。)×
 第62類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く。)×
 第63類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ ○
一部無
左分類中○は規制有り
×は規制なし
第12部 履物、帽子、傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分品、調製羽毛、羽毛製品、造花並びに人髪製品 無し
第13部 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその製品 有り
第14部 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張つた金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣 有り
第15部 卑金属及びその製品 有り
第16部 機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品 有り
第17部 車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品 有り
第18部 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機器、時計及び楽器並びにこれらの部分品及び附属品 有り
第19部 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品 有り
第20部 雑品
 第94類 家具、寝具、マットレス、マットレスサポート、クッションその他これらに類する詰物をした物品並びにランプその他の照明器具(他の類に該当するものを除く。)及びイルミネーションサイン、発光ネームプレートその他これらに類する物品並びにプレハブ建築物×
 第95類 がん具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品 ○
 第96類 雑品 ×
一部無し
第21部 美術品、収集品及び骨董。 無し


@ ホワイト国 「輸出令別表第3」の地域

アルゼンチンオーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国 (太字以外はヨーロッパ。南米ではアルゼンチンのみ、アジアおよびアフリカにはホワイト国はない)(大韓民国は令和元年(2019)年8月28日より別表第3の国から削除されました。)

A 国連武器禁輸国・地域 「輸出令別表第3の2」の地域

アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、エリトリア、イラクレバノンリベリア、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン, 南スーダン(太字はアジア、その他はアフリカ)
(コートジボワールは平成28(2016)年7月29日、リベリアは平成28(2016)年11月7日より、エリトリアは平成30(2018)年12月19日輸出令別表第3の2の地域から除外されました。南スーダンは平成31年(2019)年4月12日より別表第3の2に加えられました。)


B 用途要件(核兵器等の開発等、おそれ省令)
用途要件を調べる前に、下記の例外に当てはまらないか調べてください。もし、下記の理由の一つでも「はい」がある場合は、例外として、用途要件に該当しても、非該当となります。よって、以下の需要者要件を調べなくても、輸出許可不要で輸出できます。






@当該輸出貨物又は技術を用いて開発等される別表(※)に掲げる貨物が産業、娯
楽、スポーツ、狩猟又は救命の用に供される旨が文書等に記載され又は記録されて
いる場合であり、かつ、輸出者等が同表に掲げる貨物がこれらの用に供される旨輸
入者等から連絡を受けている。
別表(※)
一 銃砲若しくはこれに用いる銃砲弾(発光又は発煙のために用いるもの
 を含む。)のうち次に掲げるもの又はこれらの部分品
1 空気銃、散弾銃、ライフル銃若しくは火縄式銃砲又はこれらのものに
用いる銃砲弾
2 救命銃、もり銃若しくはリベット銃その他これらに類する産業用銃又
はこれらのものに用いる銃砲弾
二 産業用の発破器
三 産業用の火薬若しくは爆薬又はこれらの火工品
はい・
いいえ
A日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の
相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定に基づき、自衛
隊がアメリカ合衆国軍隊に対して貨物又は役務の輸出又は提供を行う。
はい・
いいえ
B日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提
供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定に基づき、自衛隊がオー
ストラリア国防軍に対して役務の提供を行う場合
はい・
いいえ
C自衛隊法に基づく海上における警備行動の用に供するために貨物又は役務の輸出
又は提供を行う。
はい・
いいえ
D自衛隊法に基づく在外邦人等の輸送の用に供するために貨物又は役務の輸出又は
提供を行う。
はい・
いいえ
E自衛隊法に基づく国賓等の輸送の用に供するために貨物又は役務の輸出又は提供
を行う。
はい・
いいえ
F国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づく国際緊急援助活動の用に供するため
に貨物又は役務の輸出又は提供を行う。
はい・
いいえ
G国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律に基づく国際平和協力業務の
用に供するために貨物又は役務の輸出又は提供を行う。
はい・
いいえ
H海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に基づく海上保安庁による海
賊行為への対処及び自衛隊の部隊による海賊対処行動の用に供するために貨物又は
役務の輸出又は提供を行う。
はい・
いいえ

■ 用途要件
核兵器の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の化学製剤の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の細菌製剤の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の化学製剤・細菌製剤の散布のための装置の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
300Km以上運搬することができるロケットの開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
300Km以上運搬することができる無人航空機の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ



核燃料物質・核原料物質の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
核融合に関する研究 はい・いいえ
原子炉・その部分品・付属装置の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
重水の製造 はい・いいえ
核燃料物質の加工 はい・いいえ
核燃料物質の再処理 はい・いいえ
軍、国防に関する事務を司る行政機関が行うもの、これらから委託を受けて
行うことが明らかなもの
a. 化学物質の開発、製造
b. 微生物・毒素の開発、製造、使用、貯蔵
c. ロケット・無人航空機の開発、使用、貯蔵
d. 宇宙に関する研究
はい・いいえ
上記に一つでも「はい」がある場合は、輸出行為をする前に、経済産業省から輸出許可を申請しなければなりません。「はい」とした場合には、その根拠(契約書、スペック等の入手文書に記録されているのか、相手から伝えられたのか)を明らかにしておかなければなりません。

ホワイト国以外の国で国連武器禁輸国・地域以外への輸出に対しては、上記の大量破壊兵器にのみ判定すれば良いですが、国連武器禁輸国・地域に対しての輸出に対しては、通常兵器(ピストル、大砲、戦車など)についても判定する必要があります。通常兵器の種類に関しては輸出令別表1の1の項の中段に規定する貨物となります。
通常兵器
銃砲若しくはこれに用いる銃砲弾(発光又は発煙のために用いるものを含む。)若しくはこれらの附属品又はこれらの部分品
爆発物(銃砲弾を除く。)若しくはこれを投下し、若しくは発射する装置若しくはこれらの附属品又はこれらの部分品
火薬類(爆発物を除く。)又は軍用燃料
指向性エネルギー兵器又はその部分品
運動エネルギー兵器(銃砲を除く。)若しくはその発射体又はこれらの部分品
軍用車両若しくはその附属品若しくは軍用仮設橋又はこれらの部分品
軍用船舶若しくはその船体若しくは附属品又はこれらの部分品
軍用航空機若しくはその附属品又はこれらの部分品
防潜網若しくは魚雷防御網又は磁気機雷掃海用の浮揚性電らん
装甲板、軍用ヘルメット若しくは防弾衣又はこれらの部分品
軍用探照灯又はその制御装置
軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射性製剤又はこれらの散布、防護、浄化、探知若しくは識別のための装置若しくはその部分品
軍用の細菌製剤、化学製剤又は放射性製剤の浄化のために特に配合した化学物質の混合物
軍用の化学製剤の探知若しくは識別のための生体高分子若しくはその製造に用いる細胞株又は軍用の化学製剤の浄化若しくは分解のための生体触媒若しくはその製造に必要な遺伝情報を含んでいるベクター、ウイルス若しくは細胞株
軍用火薬類の製造設備若しくは試験装置又はこれらの部分品
兵器の製造用に特に設計した装置若しくは試験装置又はこれらの部分品若しくは附属品
軍用人工衛星又はその部分品


C 需要者要件

需要者が以下の行為を行っているものか、過去に行ったことがあるかどうかを、契約書、パンフレット、ホームページで確認します。
核兵器の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の化学製剤の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の細菌製剤の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
軍用の化学製剤・細菌製剤の散布のための装置の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
300Km以上運搬することができるロケットの開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
300Km以上運搬することができる無人航空機の開発、製造、使用、貯蔵 はい・いいえ
また、下記の資料もチェックしなければなりません。
外国ユーザリストに掲載されている相手か
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/EUL_3.pdf
はい・いいえ
ひとつでも「はい」があれば、大量破壊兵器製造、使用、貯蔵のおそれがあるとの疑いがあるということになります。

D 明らかガイドライン

ハイフン(−)マークは対象外を示します。一つでも「いいえ」が付いたときは、疑う必要があります。
貨物等の
用途・仕
@輸入者、需要者又はこれらの代理人から当該貨物等の用途に関
する明確な説明がある。
はい・いいえ・−
A需要者の事業内容、技術レベルからみて、当該貨物等を必要と
する合理的理由がある。 
はい・いいえ・−
貨物等の
設置場所
等の態
様・据付
等の条件
B当該貨物等の設置場所又は使用場所が明確である。 はい・いいえ・−
C当該貨物等の設置場所又は使用場所が軍事施設内若しくは軍事
施設に隣接している地域又は立ち入りが制限されている等の高度
の機密が要求されている地域である場合は、その用途に疑わしい
点があるとの情報を有していない。
はい・いいえ・−
D当該貨物等の輸送、設置等について過剰な安全装置・処置が要
求されていない。
はい・いいえ・−
貨物等の
関連設
備・装置
等の条
件・態様
E当該貨物等が使用される設備や同時に扱う原材料についての説
明がある。 
はい・いいえ・−
F当該貨物等及び当該貨物等が使用される設備や同時に扱う原材
料の組合せが、当該貨物等の用途に照らして合理的、整合的であ
る。
はい・いいえ・−
G異常に大量のスペアパーツ等の要求がない。 はい・いいえ・−
H通常必要とされる関連装置の要求がある。 はい・いいえ・−
表示、船
積み、輸
送ルー
ト、梱包
等におけ
る態様
I輸送時における表示、船積みについての特別の要請がない。 はい・いいえ・−
J製品及び仕向地から見て、輸送ルートにおいて異常がない。 はい・いいえ・−
K輸送時における梱包及び梱包における表示が輸送方法や仕向地
などからみて異常がない。
はい・いいえ・−
貨物等の
支払対価
等・保証
等の条件
L当該貨物等の支払対価・条件・方法などにおいて異常に好意的
な提示がなされていない。
はい・いいえ・−
M通常要求される程度の性能等の保証の要求がある。 はい・いいえ・−
据付等の
辞退や秘
密保持等
の態様
N据付、指導等の通常予想される専門家の派遣の要請がある。 はい・いいえ・−
O最終仕向地、製品等についての過度の秘密保持の要求がない。 はい・いいえ・−
外国ユー
ザーリス
ト掲載企
業・組織
P外国ユーザーリスト(最新のもの)に掲載されている企業・組
織向けの取引については、リストに記載されている当該需要者の
関与が懸念されている大量破壊兵器の種別(核兵器、生物兵器、
化学兵器、ミサイル)と、輸出する貨物等の懸念される用途の種
別(「大量破壊兵器等及び通常兵器に係る補完的輸出規制に関す
る輸出手続等について」(最新のもの)1.の(3)1)に掲げ
る核兵器等の開発等に用いられるおそれの強い貨物例(*)等を
参考に、輸出しようとする貨物等の特性から判断すること。)が
一致しない。
はい・いいえ・−
その他 Qその他取引の慣行上当然明らかにすべき事項に関する質問に対
して需要者から明確な説明がない等の取引上の不審な点がない。
はい・いいえ・−
(*)おそれの強い貨物例
おそれの強い貨物例の品目
懸念される用途
1. リン酸トリブチル(TBP) 核兵器
2. 炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維 核兵器、ミサイル
3. チタン合金 核兵器、ミサイル
4. マルエージング鋼 核兵器、ミサイル
5. 口径75ミリメートル以上のアルミニウム管 核兵器
6. しごきスピニング加工機 核兵器、ミサイル
7. 数値制御工作機械 核兵器、ミサイル
8. アイソスタチックプレス 核兵器、ミサイル
9. フィラメントワインディング装置 核兵器、ミサイル
10. 周波数変換器 核兵器
11. 質量分析計又はイオン源 核兵器
12. 振動試験装置 核兵器、ミサイル
13. 遠心力釣り合い試験器 核兵器、ミサイル
14. 耐食性の圧力計・圧力センサー 核兵器、ミサイル
15. 大型の非破壊検査装置 核兵器、ミサイル
16. 高周波用のオシロスコープ及び波形記憶装置 核兵器
17. 電圧又は電流の変動が少ない直流の電源装置 核兵器
18. 大型発電機 核兵器
19. 大型の真空ポンプ 核兵器
20. 耐放射線ロボット 核兵器
21. TIG溶接機、電子ビーム溶接機 核兵器、ミサイル
22. 放射線測定器 核兵器
23. 微粉末を製造できる粉砕器 ミサイル
24. カールフィッシャー方式の水分測定装置 ミサイル
25. プリプレグ製造装置 ミサイル
26. 人造黒鉛 核兵器、ミサイル
27. ジャイロスコープ ミサイル
28. ロータリーエンコーダ ミサイル
29. 大型トラック(トラクタ、トレーラー、ダンプを含む) ミサイル
30. クレーン車 ミサイル
31. 密閉式の発酵槽 生物兵器
32. 遠心分離器 生物兵器
33. 凍結乾燥機 生物兵器
34. 耐食性の反応器 ミサイル、化学兵器
35. 耐食性のかくはん機 ミサイル、化学兵器
36. 耐食性の熱交換器又は凝縮器 ミサイル、化学兵器
37. 耐食性の蒸留塔又は吸収塔 ミサイル、化学兵器
38. 耐食性の充てん用の機械 ミサイル、化学兵器
39. 噴霧器を搭載するよう設計された無人航空機(UAV)
(娯楽若しくはスポーツの用に供する模型航空機を除く)
ミサイル、生物・化学兵器
40. UAVに搭載するよう設計された噴霧器 ミサイル、生物・化学兵器


対シリア用特別懸念材料
1. ドラフトチャンバー 化学兵器
2. フルフェイスマスクの呼吸用保護具 生物・化学兵器
3. 塩化アルミニウム(7446-70-0)、ジクロロメタン(75-09-2)、N,N−ジメチ
ルアニリン(121-69-7)、臭化イソプロピル(75-26-3)、イソプロピルエーテル
(108-20-3) 、モノイソプロピルアミン(75-31-0)、臭化カリウム(7758-02-3)、
ピリジン(110-86-1)、臭化ナトリウム(7647-15-6)、ナトリウム金属 (7440-23-
5) 、トリブチルアミン(102-82-9)、トリエチルアミン(121-44-8)、トリメチル
アミン(75-50-3)、アセチレン(74-86-2)、アセトン(67-64-1)、アンチモン
(7440-36-0)、砒素 (7440-38-2) 、三酸化二砒素 (1327-53-3) 、Bis(2-
chloroethyl)ethylamine hydrochloride(3590-07-6) 、 Bis(2-chloroethyl)
methylaminehydrochloride (55-86-7)、ベンジル(134-81-6)、ベンズアルデヒ
ド (100-52-7) 、ベンゾイン(119-53-9) 、 1- ブロモ -2- クロロエタン(107-04-
0)、塩素(7782-50-5)、ジエチルエーテル(60-29-7)、ジエチルアミン(109-89-
7)、ジメチルエーテル(115-10-6)、N,N-ジメチルエタノールアミ ン (108-01-
0) 、ジシクロヘキシルアミン(101-83-7)、エチレン(74-85-1)、二塩化エチレン
(107-06-2)、エチレングリコールモノメチルエーテル(109-86-4)、エチルブロマ
イド(74-96-4)、塩化エチル(75-00-3)、エチルアミン(75-04-7)、酸化エチレン
(75-21-8) 、フルオロアパタイト(1306-05-4) 、ヘキサメチレンテトラミン(100
-97-0)、硫化水素(7783-06-4)、イソシアン酸メチル(624-83-9)、イソプロピル
アルコール(濃度が 95 %以上のもの )(67-63-0) 、マンデル酸(90-64-2)、メチル
アミン(74-89-5)、メチルブロマイド(74-83-9)、塩化メチル(74-87-3)、ヨウ化
メチル(74-88-4)、メチルメルカプタン(74-93-1)、エチレングリコール(107-21-
1)、ニトロメタン(75-52-5)、オキサルクロリド(79-37-8)、ピクリン酸(88-89-
1)、硫化カリウム(1312-73-8)、チオシアン酸カリウム (333-20-0) 、キナルジ
ン(91-63-4)、塩化チオホスホリル(3982-91-0)、トリ-n-ブチルホスファイト
(102-85-2)、亜リン酸トリイソブチル(1606-96-8)、塩化トリス(2-クロロエチ
ル)アンモニウム(817-09-4)、次亜塩素酸ナトリウム(7681-52-9)、無水硫酸
(7446-11-9)、黄リン(12185-10-3)、赤リン(7723-14-0)
化学兵器
 
4. ジエチレントリアミン(111-40-0) 化学兵器
5. ブチリルコリンエステラーゼ、臭化ピリドスチグミン(101-26-8)、塩化オビド
キシム(114-90-9)
化学兵器
6. バイオセーフティキャビネット、グローブボックス 生物兵器
7. バッチ式遠心分離器 生物兵器
8. 発酵槽 生物兵器
9. 反応器、かくはん機、熱交換器、凝縮器、ポンプ(11.を除く。)、弁、貯蔵
容器、蒸留塔、吸収塔
化学兵器
10.クリーンルーム、HEPAフィルター付きのファン 生物兵器
11.真空ポンプ又はその部分品 化学兵器
12.化学物質の分析装置、検知装置又はその部分品若しくは附属装置 化学兵器
(注)3.から5.までの( )の番号は CAS 番号(※アメリカ化学会の機関である CAS(Chemical
Abstracts Service)が個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号)

■ 通常兵器の開発、製造若しくは使用に用いられるおそれの強い貨物例
国連武器輸出禁輸国・地域に対しては上記大量破壊兵器のみならず、通常兵器の開発、製造若しくは使用に用いられるおそれの強い貨物例についても確認する必要があります。
品目
懸念される用途
1.ニッケル合金又はチタン合金 通常兵器
2.焼結磁石 通常兵器
3.2に掲げるものの製造用の装置又はその部分品 通常兵器
4.作動油として使用することができる液体であつて、りん酸とクレゾールとのエス
テル、りん酸トリス(ジメチルフェニル)又はりん酸トリ−ノルマル−ブチルを含む
もの
通常兵器
5.有機繊維、炭素繊維又は無機繊維 通常兵器
6.軸受又はその部分品 通常兵器
7.工作機械その他の装置であつて、次に掲げるもの又はその部分品
 イ 数値制御を行うことができる工作機械
 ロ 鏡面仕上げを行うことができる工作機械(数値制御を行うことができるものを除く。)
 ハ 測定装置(工作機械であつて、測定装置として使用することができるものを含む。)
通常兵器
8.二次セル 通常兵器
9.波形記憶装置 通常兵器
10.電子部品実装ロボット 通常兵器
11.電子計算機又はその部分品 通常兵器
12.伝送通信装置又はその部分品 通常兵器
13.フェーズドアレーアンテナ 通常兵器
14.通信妨害装置又はその部分品 通常兵器
15.電波その他の電磁波を発信することなく、電波その他の電磁波の干渉を観測す
ることにより位置を探知することができる装置
通常兵器
16.光検出器若しくはその冷却器若しくは部分品又は光検出器を用いた装置 通常兵器
17.センサー用の光ファイバー 通常兵器
18.レーザー発振器又はその部分品 通常兵器
19.磁力計、水中電場センサー若しくは磁場勾(こう)配計又はこれらの部分品 通常兵器
20.重力計 通常兵器
21.レーダー又はその部分品 通常兵器
22.加速度計又はその部分品 通常兵器
23.ジャイロスコープ又はその部分品 通常兵器
24.慣性航法装置その他の慣性力を利用する装置又はこれらの部分品 通常兵器
25.ジャイロ天測航法装置、天体若しくは人工衛星の自動追跡により位置若しくは
針路を測定することができる装置、衛星航法システムからの電波受信装置若しくはそ
の部分品又は航空機用の高度計
通常兵器
26.水中用のカメラ又はその附属装置 通常兵器
27.大気から遮断された状態で使用することができる動力装置 通常兵器
28.開放回路式の自給式潜水用具又はその部分品 通常兵器
29.ガスタービンエンジン又はその部分品 通常兵器
30.ロケット推進装置又はその部分品 通常兵器
31.29若しくは30に掲げるものの製造用の装置又はその部分品 通常兵器
32.航空機又はその部分品 通常兵器
33.ロケット若しくは航空機の開発若しくは試験に用いることができる振動試験装
置、風洞、環境試験装置又はこれらの部分品
通常兵器
34.フラッシュ放電型のエックス線装置 通常兵器
通常兵器キャッチオール規制は国連武器禁輸国・地域に輸出するときのみ考慮する。
上記に該当しても、ホワイト国向けは対象外。
国連武器禁輸国・地域以外の非ホワイト国においてはインフォーム要件のみ。

■ キャッチオール規制許可取得のまとめ

国群
国の例
兵器の種類
用途 需要者 インフォーム
ホワイト国 北米、EU、豪州
アルゼンチン、アイルランド
大量破壊兵器 不要 不要 不要
通常兵器 不要 不要 不要
国連武器禁輸国・地域 イラク、レバノン、リビア
アフガニスタン、ソマリア
大量破壊兵器 必要 必要 必要
通常兵器 必要 不要 必要
それ以外の地域 ロシア、中国、台湾、タイ
フィリピン、イスラエル
大量破壊兵器 必要 必要 必要
通常兵器 不要 不要 必要


 ケーススタディー

1. 英国にある企業に、輸出令別表1の16の項に該当する加速度計を輸出する際、大量破壊兵器キャッチオール規制の用途要件を満たしていても、輸出許可は不要である。
 Point: 輸出令別表1の16に該当(1から15の項には非該当と判定されたと考える)しても、英国はホワイト国であるので、そのまま輸出許可不要となる。内容が用途要件を満たしているかどうかは、考える必要がない。

2. 貿易会社Aがタイの航空機器メーカーBからリスト規制に該当しないアルミニウム管5000本を受注した。用途は重水の製造に使うとメールでの連絡が有った。この場合、貿易会社Aは輸出許可が必要である。同製品を重水の製造ではなく、戦闘機の製造に使用すると連絡を受けた場合には輸出許可を受ける必要はない。
 Point: リスト規制に該当しない=非該当貨物=輸出令別表1の16の項に該当することになる。タイはホワイト国ではないので、用途要件を調べると、重水の製造に「はい」が付くので、輸出許可が必要となる。戦闘機の製造は一見大量破壊兵器のようであるが、通常兵器の軍用航空機に該当する。よって、国連武器禁輸国ではないので、インフォーム要件のみとなる。

3. 横浜のソフトメーカーAが、アフリカにあるB国空軍研究所からリスト規制に該当しない汎用CADソフトの注文を受けた。用途は無人偵察機である。この場合、Aは役務取引許可が必要である。
  Point: リスト規制に該当しないということは、非該当貨物である。食料品や木材ではないので、別表1の16の項に該当する。アフリカにはホワイト国がないので、用途確認をしなければならない。用途が無人偵察機であるので、輸出許可を受けなければならない。(用途要件に無人航空機がある)

4. 大阪の輸出商社Aはホワイト国以外の国から肥料の製造として輸出令別表1の16の項に該当する貨物の受注をした。需要者Bは国防省であるとメールで連絡を受けた。この場合、必ず輸出許可を受けなければならない。
   Point: 別表1の16の項の貨物をホワイト国以外の国に輸出する場合は、用途を確認しなければならない。用途要件の一番下の行の「軍、国防に関する事務を司る行政機関が行うもの、これらから委託を受けて行うことが明らかなもの a. 化学物質の開発、製造」というのがあり、化学物質の開発、製造には農薬、殺虫剤、肥料が含まれ、相手が国防省ということで、用途要件に該当する。従い、輸出許可は必要である。農薬、殺虫剤、肥料は度が過ぎれば人間も死ぬので、化学兵器に転用が可能である。

5. 中国企業Aから遠心分離機の引き合いを受けた。Aを調べたところ、外国ユーザーリストに掲載されていた。必ず輸出許可を取らなければならないというわけではない。
 Point: 中国はホワイト国ではないので、用途要件を調べなければなりません。用途が調べられていないので、用途を調べてください。遠心分離機の該非判定をして、非該当であっても、32に生物兵器として大量破壊兵器のおそれがある貨物として掲載されている。よって、Aが遠心分離器を購入して生物兵器を製造、使用、保管する目的で購入しようとしているときのみ輸出許可を申請しなければなりません。明らかガイドライン17を参照してください。

6. 中国のA大学から400万円で輸出令別表1の16に該当するカメラの注文をされた。外国ユーザーリストを調べたところA大学は掲載されていた。そこで、輸出審査部門がA大学のホームページを確認したところ、不明な言語で書かれいるページがあり、判読不明であったので、そのページの内容は取引審査の情報には含めなかった。また、アメリカの競合カメラメーカーの営業マンからA大学は核開発に使うためにカメラを調達しているという話を聞き、慎重に情報収集を行ったが、そのような情報は全く得られなかったので、その営業マンの情報は審査上取り上げなかった。よって、明らかガイドラインに従った審査をしたが、A大学からの用途は建築物の撮影とのことであったので、兵器用途でないことが明らかであると判断し、輸出許可を得ずに輸出した。
 Point:膨大な文章量のものや、特異な言語で書かれた文書は「入手した文書」に該当しない(補完規制通達)ので、これを解読して審査する必要はない。また、競合他社の情報は相手に受注辞退させて自社が受注することを企んでいる場合があるので、正当な情報とはみなすことができない。よって、競合他社の営業マンの情報は「連絡をうけた」場合には相当しないが、慎重に調査した上で結論づけたので、正しい行為である。最後に用途が通常兵器・大量破壊兵器でないことが明らかであり、明らかガイドラインでチェックしたのであるから輸出許可は不要である。但し、これら調査経緯や結果は残しておくことが肝要である。
ホームページは毎日更新されるので、調査時点での内容を立証するためには、印刷して調査資料としてファイルしておくべきである。経産省からの調査を受けた場合には、これら資料をもって、正当性を示さなければならない。

7. イスラエルのメーカーから輸出令別表1の1の項から15の項までに該当せず、16の項に該当するニッケル合金板100トンを受注した。用途は戦車ということであったが、輸出時までに経済産業大臣からインフォームがなかったので、輸出許可を得ずに輸出した。
 Point: イスラエルは武器禁輸国ではない。ニッケル合金板は通常兵器の製造に使用されるおそれのある品目には該当するが、リスト規制の非該当貨物である。戦車は通常兵器であり、大量破壊兵器ではないので、インフォームがなければ輸出許可を受ける必要はない。

8.リベリアの企業にレーダーを輸出することになった。明らかガイドラインでチェックをしたので、輸出許可は不要で輸出しようとしたができなかった。
 Point: リベリアは国連武器禁輸国・地域に指定されているので、レーダーは通常兵器の21番に掲載されている武器のため、輸出許可は必要である。ちなみに、需要者要件は不要である。

9. フィリピン企業から輸出令別表1の1の項から15の項に該当しないマイコン1,000個の注文を受けた。用途を確認すると、フィリピン陸軍の無線機に使用するとのことであったが、輸出許可を得ずに輸出した。
 Poiont: フィリピンはホワイト国ではないが国連武器禁輸国・地域にも指定されていない。マイコンは輸出令別表1の1の項から15の項には該当しないので、リスト規制非該当貨物である。よって、キャッチオール規制にて判断する。用途が軍の無線機であるが、無線機は大量破壊兵器ではないので、向け先が軍という需要者要件は検討されないので、輸出許可を得る必要はない。

10. 京都のA大学教授Bは、パリで行われる国際シンポジウムに出席した。その際イランのC大学の研究者Dからリスト規制に該当しない技術内容について質問を受けた。映像資料なしに口頭で説明した。質問者のC大学は外国ユーザーリストに掲載されていたが、キャッチオール規制に基づく、役務取引許可を受けなかった。
 Point: イランは武器禁輸国である。リスト規制対象技術であれば、口頭でも規制対象となるので役務取引許可が必要となるが、リスト規制技術ではなかったので、口頭での説明であれば許可は不要となる。但し、電話で説明したときは公衆電気通信網・機器を使用しているのでリスト規制対象外技術の説明であっても規制対象となる点に注意する。

11. フランス企業が大陸弾道ミサイルの制御用にミサイルに搭載するために汎用メモリICを購入したいと言ってきた。リスト規制を調べたところ、輸出令別表1の1の項から15の項には該当しないことがわかったので、通常の半導体として輸出許可なしに輸出した。
 Point: フランスはホワイト国である。半導体自体はミサイルではない。リスト規制非該当の半導体をホワイト国に輸出する場合には、その用途を調べる必要なく輸出許可不要で輸出できる。



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