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輸出貿易管理ー該非判定支援(5)

条約と国際輸出管理レジームのかかわり


規制自体の法律は、「外国為替及び外国貿易法」であり、具体的な規制は「輸出貿易管理令」と、「外国為替令」です。それらの法令の大元は日本の方針である、「防衛装備移転三原則」と国際条約、国際輸出管理レジームです。大量破壊兵器に関するものとしては、核兵器関連としては核兵器不拡散条約(NPT)と原子力供給国グループ(NSG)というレジーム、生物・化学兵器関連としては生物兵器禁止条約(BWC)、化学兵器禁止条約(CWC)とオーストラリアグループ(AG)という生物・化学兵器禁止レジーム、ミサイル関連としては、国際条約はなく、ミサイル関連機材・技術輸出規制(MTCR)レジームがあります。

ところが、核兵器などの大量破壊兵器に関するものだけ規制していても、ライフル1万丁を輸出すれば、1万人が一度に死ぬわけで、通常兵器関連も規制しようということになりました。これが、1996年に出来たワッセーナアレンジメント(WA)という国際レジームです。

核兵器でないからと言って、規制対象外なわけではありません。また、デュアルユースといって、改造すれば兵器になるものは、兵器をカモフラージュしているとみなされ、輸出禁止です。例えば、農薬を散布するヘリコプターは監視用にもなり、化学兵器散布もできるので、武器にあたる可能性が高くなります。

日本はすべての国際管理レジームに参加しており、厳格に管理されているので、容易に日本に輸出することができます。しかし、日本と貿易取引額の高い中国はNSG以外の国際管理レジームに参加していないので、中国はホワイト国ではありません。中国はイランや北朝鮮などの懸念国とも貿易取引が多く、中国経由でそういった国へ輸出される可能性があることや、中国の輸出管理制度にも問題があることから、取引相手としては慎重にしなければなりません。中国から輸入した商品だからと言って、その商品自体やその商品を組み込んだ商品を中国に輸出できるとは限らないのです。輸出できたとしても許可されるまでに時間がかかることを想定して十分な余裕をもって輸出申請しましょう。

トルコやウクライナはすべての国際輸出管理レジームに参加していますが、輸出管理制度に問題があるので、ホワイト国に指定されていません。

ましてや、国際輸出管理レジームに参加していない国に対しての輸出は、添付書類が多く、許可発給されないか、されるまでの期間が長くなります。国際宅急便でピッと送れて、次の日に到着するという訳ではありません。


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