行政書士 EIL国際法務事務所

民泊


民泊とは、国家戦力特別区域法の第13条旅館業法の特例として設けられたものの略称です。
基本的に外人を泊めるのは、旅館業法の許可を得た旅館、ホテル、民宿、ペンションなどの宿泊施設になりますが、外国から日本に来られる人数が急激に増加したため、代替施設の提供という観点から成立した特例です。
従い、民泊は日本人を泊めることはできません

また、外国人の宿泊が多く、宿泊施設の不足している地区に限定して特区が決められますので、どこにでも民泊施設を設置できるわけではありません。
また、勝手に開設、運用していいわけではなく、開設の申請をし、認定を受けなければなりません。
宿泊者は最低7日以上連泊する者にしか貸せません。条例で10日とした都道府県においては10日になります。

広さは、政令第19条3号イにより、25平方メートル以上ということになっています。25平方メートルに少し足りない既存住宅の壁をわざわざ壊してまで作り変えて法に合せるのは、空いている既存住宅の活用を考えている趣旨と反しますので、多少狭いだけで、住環境に問題がないというのであれば、都道府県知事・市区長が個別的に判定し、認定するということができます。新築するのであれば25平方メートル以上は確保しなければなりません。

以下に国家戦略特別区域法の第13条と、その詳細規定を定めた政令を示します。
その下に、大阪府条例を示しますが、大阪府条例によって民泊が認可できるのは、大阪府の大阪市・堺市・東大阪市など独自の保健所をもつ6市以外の地域のみということになります。大阪市・堺市・東大阪市などは独自に条例を作成しなければなりません。今のところ、条例をつくるとの情報はないですが、作れば同様なものになると思われます。大阪府では関空近辺の泉佐野市および新大阪駅周辺の吹田市を視野に入れた条例制定となっています。

一方で、外人観光のメインである京都においては、京都府知事は平成27年11月7日現在、条例制定には慎重な発言をしています。京都の観光地で外人が宿泊したい場所はほぼ京都市に限られ、京都市には権限を持たないため、京都市以外に需要のない条例を安易に作るべきでない。ということと、京都は短期滞在が殆どであり、一定期間以上の宿泊は見込めない。というのが理由のようで、もっともと思われます。キャパが足りている地域で民泊が始まれば、既存のホテル・旅館・民宿の長期滞在者を奪うことになり、経営を圧迫しかねません。そうして、その地域に民泊だけになって、既存宿泊施設が消えると、日本人の宿泊施設がなくなるという事態に陥り、本末転倒になります。その後に調査した人は、民泊がなかったらこの地域には宿泊施設がないので、民泊制度の成功例ということになりかねず、ちょっと怖いと感じました。
政令指定都市を抱える知事のジレンマが見えますが、理解されていない人からは「なんで京都は民泊条例をつくらないんだ。京都は外人観光客だらけだろう」と叩かれるというちょっとかわいそうなことが起こっています。


国家戦略特別区域法
(平成二十五年十二月十三日法律第百七号)最終改正:平成二七年九月二八日法律第七四号
(旅館業法の特例)
第十三条  国家戦略特別区域会議が、第八条第二項第二号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(国家戦略特別区域において、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業(その一部が旅館業法 (昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する旅館業に該当するものに限る。)として政令で定める要件に該当する事業をいう。以下この条及び別表の一の四の項において同じ。)を定めた区域計画について、第八条第七項の内閣総理大臣の認定(第九条第一項の変更の認定を含む。以下この項及び第九項第二号において「内閣総理大臣認定」という。)を申請し、その内閣総理大臣認定を受けたときは、当該内閣総理大臣認定の日以後は、当該国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行おうとする事業が当該政令で定める要件に該当している旨の都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下この条において同じ。)の認定(以下この条において「特定認定」という。)を受けることができる。
2  特定認定を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書及び厚生労働省令で定める添付書類を都道府県知事に提出しなければならない。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二  その行おうとする事業の内容
三  前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
3  都道府県知事は、特定認定の申請に係る事業が第一項の政令で定める要件に該当すると認めるときは、特定認定をするものとする。
4  特定認定(次項の変更の認定を含む。以下この項及び第九項において同じ。)を受けた者(以下この条において「認定事業者」という。)が行う当該特定認定を受けた事業(第八項及び第九項第三号において「認定事業」という。)については、旅館業法第三条第一項の規定は、適用しない。
5  認定事業者は、第二項第二号又は第三号に掲げる事項の変更をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の認定を受けなければならない。ただし、その変更が厚生労働省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
6  第三項の規定は、前項の変更の認定について準用する。
7  認定事業者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第五項ただし書の厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
8  都道府県知事は、この条の規定の施行に必要な限度において、認定事業者に対し、認定事業の実施状況について報告を求めることができる。
9  都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、特定認定を取り消すことができる。
一  第九条第一項の規定による認定区域計画の変更(第八条第二項第二号に規定する特定事業として国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を定めないこととするものに限る。)の認定があったとき。
二  第十一条第一項の規定により認定区域計画(第八条第二項第二号に規定する特定事業として国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を定めたものに限る。)の内閣総理大臣認定が取り消されたとき。
三  認定事業者が行う認定事業が第一項の政令で定める要件に該当しなくなったと認めるとき。
四  認定事業者が不正の手段により特定認定を受けたとき。
五  認定事業者が第五項又は第七項の規定に違反したとき。
六  認定事業者が前項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。


国家戦略特別区域法施行令
(平成二十六年三月二十八日政令第九十九号)最終改正:平成二七年八月二八日政令第三〇三号
(法第十三条第一項 の政令で定める要件)
第十二条  法第十三条第一項 の政令で定める要件は、次の各号のいずれにも該当するものであることとする。
一  当該事業の用に供する施設であって賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させるもの(以下この条において単に「施設」という。)の所在地が国家戦略特別区域にあること。
二  施設を使用させる期間が七日から十日までの範囲内において施設の所在地を管轄する都道府県(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合にあっては、当該保健所を設置する市又は特別区)の条例で定める期間以上であること。
三  施設の各居室は、次のいずれにも該当するものであること。
 イ 一居室の床面積は、二十五平方メートル以上であること。ただし、施設の所在地を管轄する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合にあっては、当該保健所を設置する市の市長又は特別区の区長)が、外国人旅客の快適な滞在に支障がないと認めた場合においては、この限りでない。
 ロ 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
 ハ 出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
パーティション等で区切ったものはだめですよ
 ニ 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
窓のない部屋はダメです。
 ホ 台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
 ヘ 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること。
四  施設の使用の開始時に清潔な居室を提供すること。
五  施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること。
六  当該事業の一部が旅館業法 (昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する旅館業に該当するものであること。


大阪府の民泊条例は下記の通りです。

大阪府条例第八十四号大阪府国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例
(趣旨)
第一条この条例は、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号。以下「法」という。)第十三条第一項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(以下「事業」という。)について国家戦略特別区域法施行令(平成二十六年政令第九十九号。以下「令」という。)第十二条第二号の規定に基づき同号の条例で定める期間を定め、併せて事業に関し必要なその他の事項を定めるものとする。

(事業の用に供する施設を使用させる期間)
第二条令第十二条第二号の条例で定める期間は、七日とする。

(立入調査)
第三条知事は、法第十三条第九項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、同条第四項に規定する認定事業者(以下「認定事業者」という。)の事務所又は令第十二条第一号に規定する施設(以下「施設」という。)に立ち入り、法第十三条第四項に規定する認定事業の実施状況について調査させ、又は関係者に質問させることができる。
2前項の規定により立入調査をする職員は、現に滞在の用に供している施設の居室に立ち入ろうとするときは、あらかじめ認定事業者及び当該居室に滞在している者の承諾を得なければならない。
3第一項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

(手数料)
第四条法に基づく事務に関し、次の表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に定める金額の手数料を納付しなければならない。

(還付)
第五条既納の手数料は、還付しない。ただし、知事は、特別の理由があると認めるときは、その全部又は一部を還付することができる。

(減免)
第六条知事は、特別の理由があると認めるときは、手数料を減額し、又は免除項区分金額一法第十三条第一項の特定認定を受けようとする者二一、二○○円二法第十三条第五項の規定により変更の認定を受けようとする者一○、五○○円(法第十三条第五項の変更であって、同条第一項の特定認定を受けた事業の用に供する居室と同一の施設内において当該居室と同一の規格の居室を当該事業の用に供するもの、居室の数を減少させるもの又は施設の構造、面積、設備及び器具の変更を伴わないものにあっては、二、五○○円)することができる。

(規則への委任)
第七条この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。附則この条例の施行期日は、規則で定める。