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項目別対比表の書き方



では、実際に項目別対比表を記入していきましょう。

例は前回のパラメータシートと同一です。無線基地局用の1200チャンネルを持つデジタル伝送装置について見ていきます。チャンネル切り替え時間は2msとします。また、民生用ではないとします。

復習になりますが、法律からです。該非判定の根拠法は、「外国為替及び外国貿易法」です。略して外為法(がいためほう)と呼んでいますが、この第48条に「特定の貨物」を輸出する者は、輸出許可を受けなければならないとなっています。逆に言うと、特定の貨物以外は許可を受けなくていいということになります。
外国為替及び外国貿易法
(昭和二十四年十二月一日法律第二百二十八号)

(輸出の許可等)
第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
 経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、同項の特定の種類の貨物を同項の特定の地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。
 経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持のため、外国貿易及び国民経済の健全な発展のため、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第十条第一項の閣議決定を実施するために必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。
同様の規定は、役務(プログラムや技術供与)についても25条に規定されている。
(役務取引等)
第二十五条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

「特定の貨物」に該当することを、該当。「特定の貨物」に該当しないことを、非該当と呼んでいます。「特定の貨物」に該当しませんよ。だから、輸出許可なしに輸出しますよというのが非該当証明となります。輸出しようとしたときに、税関で「輸出許可書は?」と求められると、「これは非該当貨物なので輸出許可は取っていません」と非該当証明を提出することになります。輸出許可は、経済産業省で取らなければならないので、税関ではありません。該当品であれば、輸出前に経済産業省に許可申請をし、2週間ぐらい待ってから許可を得ますが、非該当なら、今送ると決めて、DHLやFEDEX等の国際宅配便を頼めば送れます。但し、INVOICE、税関申告書、非該当証明などは用意しなければなりませんが。

では、一体特定の貨物とは何でしょうか。外為法を受けて成立した政令がありますので、それを見てみましょう。具体的な内容は貿易管理令の別表にあります。例示した商品は、直接の武器ではありませんが、軍隊や警察などで使用される機微品目と呼ばれますので、別表1の15に書いてあります。

以下は、貿易管理令別表1の15の内容です。

「次に掲げる貨物であつて、経済産業省令で定める仕様のもの
(一) 無機繊維又は五の項(十六)に掲げる貨物を用いた繊維を使用した成型品
(二) 電波の吸収材又は導電性高分子(四の項の中欄に掲げるものを除く。)
(三) 核熱源物質(二の項の中欄に掲げるものを除く。)
(四) チャネルの数が一、〇〇〇を超えるデジタル制御方式の伝送通信装置又はその部分品若しくは附属品
(四の二) 簡易爆発装置を事前に爆発させ、若しくはその爆発を防止するように設計した無線送信装置又はその附属装置
(五) 音波を利用した水中探知装置又はその部分品
(六) 宇宙用に設計した光検出器
(七) 送信するパルス幅が一〇〇ナノ秒以下のレーダー又はその部分品
(八) 潜水艇であつて、単独で航行できるもの(一の項の中欄に掲げるものを除く。)
(九) 排水量が一、〇〇〇トン以上の船舶に使用することができる防音装置(一の項の中欄に掲げるものを除く。)
(十) ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジン若しくは複合サイクルエンジン又はこれらの部分品(四の項の中欄に掲げるものを除く。)」

となっています。

(四)に完全に該当しますね。但し、そもそもの((一)の上に記されている)「経済産業省令で定める仕様」というのがわかりませんね。
そこで、省令を見ていくと、

輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令
(平成三年十月十四日通商産業省令第四十九号)
第十四条 
輸出令別表第一の一五の項の経済産業省令で定める仕様のものは、次のいずれかに該当するものとする。
一から四 (省略)
五 チャネルの数が一、〇〇〇を超えるデジタル制御方式の無線受信機(民生用のセルラー無線通信に使用するように設計したものを除く。)又はその部分品若しくは附属品であって、次のイからハまでの全てに該当するもの
 電磁波スペクトラムを自動的に走査することができるもの
 受信信号又は送信波の種類を特定することができるもの
 チャネル切換え所要時間が一ミリ秒未満のもの

となっています。

何を規制しているかが分かったところで、項目別対比表を見ていきます。
再使用されないように左側を少し消してあります。実物はちゃんと印刷されていますので、お見苦しいですが、ご容赦下さい。



これは、ほぼ条文通りだということがお分かりになると思います。但し、判定の項目が○×ーで付けるようになっています。

カッコの印が【】なら○で該当、×が非該当となります。×であれば、そもそもこの項目別対比表が適切でないので、適切な用紙を探してください。

《》に○が入れば、除外項目ですので、以下は判定せずに、右下の欄に非該当をチェックしてください。

[ ]の部分に○が入れば、該当ですが、上の質問に「全てに該当するもの」とあれば、ひとつでも×があれば、判定結果は非該当となりますが、「いずれかに該当するもの」とあったら、ひとつでも○があれば該当という判定になりますので、よく条文を見て判定を下してください。

項目別対比表は間違いやすいので、パラメータシートが人気です。


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